Salesforce の商談オブジェクトをしっかり活用できていますか?
Salesforce に限らず、自社の商談の進捗管理は、事業管理で最も難しい領域のひとつだと考えています。
Salesforce 導入以前のExcel や紙などでの営業管理では、集計表やグラフを作るために、表記の揺らぎを防ぐために商談のフェーズをA/B/C/Dなどの短い文字にするという慣習が多かったように思います。
Salesforce を使うと、フェーズの文字列の統一化、そのフェーズごとに必要な管理項目や入力のレイアウトをカスタマイズする、といったことが簡単にできます。
この記事での商談のフェーズの活用についてぜひ、ご参考にしていただき、Salesforce での商談のKPI向上にお役立てください。
商談のフェーズの定義は難しい…とはいえ
Salesforce に限らず、商談のフェーズの定義はとても難しいです。自社の商材を提供するための商談時に、顧客からヒアリングすべきこと、顧客に伝えるべきことは、各社の各事業によるまさに秘伝のたれ、のようになっており、体系化などできない。
体系化できるなら、自社のビジネスは模倣される可能性が高いということではないか?
そのように考えているビジネスマネージャーの方とたくさんお会いしてきました。
私はSalesforce エンジニア / コンサルタントとしてビジネスしている一方で、モデルとしても活動しています。そのため、ビジネスモデルという言葉は私にこそふさわしい、などと冗談を言いながら、ビジネスモデルについての勉強を日々行っています。
私がビジネスモデルの勉強に使用している本はこちら
さて、Salesforce の商談のフェーズをカスタマイズするにあたり、自社がどのようなビジネスモデルで事業をしているのか、によって管理の方法は異なるかと思います。
・広告
・メーカー
・コンサルティング
・システム開発
・SaaS ベンダー
など、全然ビジネスモデルが異なる場合もあり、一概にこのフェーズで管理するのが正しい、と定義することは困難です。
だからといって、各社それぞれがやりたいようにフェーズを定義したらいいですよ、というのでは活用から遠ざかってしまいます。
この記事では、自社の製品やシステムを有している企業が、法人に向けてシステムの導入を提案する、という形態での商談のフェーズの設定の仕方の例を示します。
商談のフェーズの例
私がコンサルタントとして、Salesforce 活用のお問い合わせをいただき、私自身の事業として商談を管理するとしたらこのようにします。
段階 | フェーズ名 | 確度(%) |
1 | 商談を見極める | 10 |
2 | 顧客課題を特定する | 20 |
3 | 顧客にとってのメリットを考察する | 30 |
4 | 意思決定者の賛成を得る | 50 |
5 | 最終金額・条件の合意を得る | 70 |
6 | 契約締結に向けての調整をする | 90 |
7 | 成約 | 100 |
8 | 失注 | 0 |
このようにフェーズを新しく、選択肢を1つずつ設定していきます。
フェーズ名を変更したり、新しいフェーズを追加するには、このような操作を行います。
フェーズの選択肢の更新や、新しい項目の作成といった操作は、システム管理者の権限があるアカウントから、各オブジェクトのタブをクリックしてホーム画面を表示し、「設定」ボタンから「オブジェクトを編集」をクリックすることで、管理することができます。
「オブジェクトを編集」をクリックすると、オブジェクトマネージャ という機能が開かれます。
オブジェクトマネージャ の画面から、項目とリレーションをクリックして、
画面中央にある「フェーズ」をクリックすると、フェーズの選択肢を変更したり、追加や削除ができます。
フェーズの項目の詳細画面から、ページ下のほうにある「新規」をクリックすることで、新しくフェーズを定義することができます。
・フェーズ名
・種別
・確度(このフェーズの商談が複数あった場合、どのくらいの確率で受注できるだろうか)
・売上予測分類
を指定して保存をクリックすることで、商談のフェーズに新しい選択肢を表示できます。
新しい選択肢は、フェーズの最下部に表示されるので、「並び替え」をクリックして選択肢の並び、商談の画面の上部の「パス」の左右の配置を変更することができます。
これまでに設定されていたフェーズの選択肢については、
過去の入力内容をそのまま残して置きたいなら、「無効化」をクリックします。
無効な値は、有効化をクリックすることで、再びフェーズの選択リストに追加することができます。
削除の操作を行うと、削除前に入力されていた項目を、削除後にはどの項目に置き換えるかということを選択します。
新しく管理したいフェーズの選択肢をすべて作成してから、古い項目の削除や無効化を行うと、データの消失を防ぐことができます。
では、先ほど私がおすすめしていたフェーズの選択肢を以下のように順に作成していきましょう
※すべて、セールスプロセスに含めるようにチェックをつけてください
段階 | フェーズ名 | 種別 | 確度(%) | 売上予測分類 |
1 | 商談を見極める | 進行中 | 10 | Pipeline |
2 | 顧客課題を特定する | 進行中 | 20 | Pipeline |
3 | 顧客にとってのメリットを考察する | 進行中 | 30 | Pipeline |
4 | 意思決定者の賛成を得る | 進行中 | 50 | Pipeline |
5 | 最終金額・条件の合意を得る | 進行中 | 70 | Pipeline |
6 | 契約締結に向けての調整をする | 進行中 | 90 | Pipeline |
7 | 成約 | 成立 | 100 | Closed |
8 | 失注 | 不成立 | 0 | Omitted |
このようにフェーズの選択肢を追加できたら、もともとあった選択肢をすべて「無効化
」しましょう。削除ではなく、無効化することで過去の商談について再び振り返った時に、個別にフェーズを更新するという運用を想定しています。
フェーズの選択リストを新規作成、無効化したイメージ
フェーズの作成、無効化が完了すると、商談の画面はこのようになります。
既存のフェーズの値を新しいフェーズの値に置き換えていないため、Kanban には描画されない
商談の詳細画面の パス は、新しいフェーズで更新される。
このように商談のフェーズを上手に活用し、それぞれのフェーズに対して適切な自社の管理項目を割り当てることで、商談の属人性の解消や、KPIの改善に役立てることができます。
まとめ
Salesforce 活用の最大の山場は、商談オブジェクトの活用といえます。商談の活用のための最も近い道は、まずは標準項目、もとから実装されている項目だけでデータを入力してみること。なのですが、商談の中の最も重要な必須入力項目である「フェーズ」の定義の仕方についてはわかりにくいところがあります。
そのフェーズは、どのようなことを確認できていれば次に進めるのか、どのようなことが確認されていないといけないのか、というビジネスの流れも再定義しながらフェーズを活用してください。
フェーズ内(パス)に表示する項目の考察については別記事で行いますので、ぜひそちらもご覧ください。
Salesforce を導入したばかりや、これから導入しようとしている企業で、どのように活用したらいいのか、データの移行に悩んでいる、などありましたら、ぜひお問い合わせフォームからご相談ください。
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