こんにちは、普段はSalesforceのシステム管理者をしているnakochiです。
今回はSalesforce導入を成功させるためのポイントについてお伝えしていきます。
オブジェクト毎に用意しているので、興味のあるところから読み進めていただけると嬉しいです。
商談オブジェクトとは?
商談オブジェクトは、取引先に対して商品の販売やサービス契約の締結、といったビジネスの提案を行う際、金額や受注を予定する日(完了予定日)、現在の商談のフェーズ、などを管理するオブジェクトです。
Salesforce を導入した企業の多くは、
・もっと事業の売上を増やしたい
・属人的な商談管理から脱却したい
・商談の成約率を高めたい
といった期待をしています。
これらを実現するには、商談のオブジェクトを使いこなし、Salesforce 流の商談管理と自社のビジネスをうまく適合させることが最大のカギとなります。
商談の入力画面は、このようになります。
画像出所:Salesforce Dev Edition の初期設定の商談の新規作成画面
あなたの会社の事業管理では、多くの項目での管理をしているかもしれません。また、顧客ごとに月別の売上を管理しているかもしれません。
私がこれまでによく見た商談の画面に、
2019年1月 確定売上
2019年2月 確定売上
2019年3月 確定売上
2019年4月 確定売上
2019年5月 確定売上
・
・
・
2020年12月 確定売上
というように、商談ひとつの画面に対して月が変わるごとにどんどん売り上げのデータが増えていくというものがありました。
多くの企業にとって、事業にとって、顧客ごとの売上管理や、商談の進捗管理はまさに肝であり、これまでに管理していたExcel などの帳票をそのまま最速で再現したいという思いからSalesforce をカスタマイズする方はとても多いです。
このようにすると、Excel でこれまでに管理していたような帳票のデザインをすることはできます。しかし、これではSalesforce に移行して効率的なデータ管理をすることからは遠ざかってしまいます。
Salesforce の商談では、
商談名:[企業名]+商品名や年月
金額:その月の金額
完了予定日:計上日や入金日など
フェーズ:成約
として、月ごとに売上を管理するように商談レコードを作成したり、商談商品レコードを作成することが望ましいです。
特に商談オブジェクトのデータの管理の単位、粒度について、Salesforce や顧客管理システム、データベースの経験が浅い企業ではきちんと定義できていない傾向があります。商談オブジェクトの最初の状態での入力を何度も行い、自社にとって必要な管理項目はなにか、これまで管理していた帳票を再現、ではなくて本来あるべきデータの持たせ方はどのようなものなのかをしっかり意識することが商談オブジェクトの活用、ひいてはSalesforce 導入の成功にとって重要なのです。
商談オブジェクトの使い方
商談オブジェクトは、新しく商談を行うときに商談を作成します。契約を締結・更新する単位で作成する、売上が発生する単位で商談を作成する、など、ビジネスによって様々な使い方がされます。まず、商談の標準項目による画面をしっかり理解することからはじめ、自社流の簡単なカスタマイズや項目の整理をするようにしてみましょう。
画像出所:Salesforce Dev Edition の初期設定の商談のホーム画面
商談レコードを作成するときは、「商談」タブをクリックしてから、「新規」をクリックすることで作成画面の表示ができます。
※すでに作成済みの取引先をクリックして、「関連」から商談をクリックすることで、正しく取引先を紐づけることに役立ちます。
画像出所:Salesforce Dev Edition の初期設定の商談の新規作成画面
商談の画面に入力できる項目が最初から定義されています。
・商談名
・取引先名(どの企業と商談を行うのか)
・種別(既存ビジネス / 新規ビジネス / クロスセル / アップセル)
・金額
・完了予定日
・フェーズ
・説明
といった入力項目があらかじめ定義されています。
このようにして、最初から表示されている項目のことを「標準項目」といいます。
商談オブジェクトでは、特に上記の項目の活用が重要となります。
Salesforce の主力製品、Sales Cloud の中で最も重要な商談オブジェクトには、Salesforce.com 社が創業以来、たくさんの顧客の商談管理を分析して凝縮したノウハウが詰め込まれているので、商談オブジェクトにもともとない項目のほとんどは、「本当に必要なのか?」「標準項目だけでできるやりかたがもしかしたらあるのか?」という疑いを持ってカスタマイズに挑みましょう。
まず、標準項目への入力をいくつかのデータで行い、不要な表示項目はないか、足りない表示項目はないかを分析することが、商談オブジェクトの活用の最も近道となります。
商談オブジェクトへの入力体験とカスタマイズ
パス設定
商談レコードの活用成功のカギは、「パス設定」にあります。
商談の進捗をフェーズで管理し、そのフェーズごとに管理すべき項目を管理する、ということができれば、社内のノウハウの集約や改善のほとんどが成功するといっても過言ではありません。
商談の入力画面の上部に、フェーズを分割して表示してフェーズの更新ができたり、フェーズごとに入力すべき(顧客からヒアリングするべき)項目を定義したり、アドバイスとなるメッセージや画像を定義することで、商談の進捗や精度の向上を実現する大きな支えとなります。
商談オブジェクトのレイアウトの整理
商談オブジェクトにいくつかデータを作成してみると、この項目は明らかに表示する必要がない、自社としてはこれまでにこの項目でのデータ入力を行ったことがない、というものがあります。
そういう時は、入力画面(ページレイアウト)から非表示にすることで、入力ページを簡潔にすることができます。
ページレイアウトの編集は、システム管理者の権限があるアカウントから、各オブジェクトのタブをクリックしてホーム画面を表示し、「設定」ボタンから「オブジェクトを編集」をクリックすることで、管理することができます。
「オブジェクトを編集」をクリックすると、オブジェクトマネージャ という機能が開かれます。
このオブジェクトマネージャから、「ページレイアウト」をクリックして、
編集を行いたいページレイアウト名をクリックすると、入力画面に表示させる項目の配置を変更することができます。
※ここでは、Opportunity Layout をクリック
すると、ページレイアウトを編集する画面が表示されます。
画面中央の白い領域に表示されている項目のうち、表示したくない項目にマウスカーソルを合わせ、右側の「削除」ボタンをクリックすると、ページレイアウトから非表示にすることができます。
※ページレイアウトからの削除を行っても、データベースは存在していて、すでに入力されたデータそのものは残っています。
また、画面中央の上側にある項目名をクリックしたまま、画面下の白い部分にドラッグアンドドロップすると、入力項目を追加することができます。
画面中央の白い部分にある項目をクリックして、項目の配置を移動させたい場所にドラッグアンドドロップすると、項目の配置を変更することができます。
このようにして、まずは標準項目のうち、不要なものを非表示にすること、入力しやすい項目の配置にする、という操作を理解して商談オブジェクトを改善していきましょう。
商談オブジェクトのフェーズを活用する
ここまで、Salesforce 導入初期状態の商談オブジェクトの入力項目を見てきましたが、商談で特に大事なのはフェーズ管理です。フェーズ名が、
「A / B / C / D / E / 失注」などでは、どういう状態になったらフェーズが更新されるのかが担当者個人の肌感覚や熱量に依存してしまいます。
精度高く予測できる部署や担当者もいれば、楽観的な見通しになる傾向の人もいるでしょう。このようなあいまいな表現でのフェーズ管理ではなく、明確な定義をしたフェーズ名に変更しましょう。
フェーズ名を変更したり、新しいフェーズを追加するには、このような操作を行います。
フェーズの選択肢の更新や、新しい項目の作成といった操作は、システム管理者の権限があるアカウントから、各オブジェクトのタブをクリックしてホーム画面を表示し、「設定」ボタンから「オブジェクトを編集」をクリックすることで、管理することができます。
「オブジェクトを編集」をクリックすると、オブジェクトマネージャ という機能が開かれます。
オブジェクトマネージャ の画面から、項目とリレーションをクリックして、
画面中央にある「フェーズ」をクリックすると、フェーズの選択肢を変更したり、追加や削除ができます。
フェーズの項目の詳細画面から、ページ下のほうにある「新規」をクリックすることで、新しくフェーズを定義することができます。
・フェーズ名
・種別
・確度(このフェーズの商談が複数あった場合、どのくらいの確率で受注できるだろうか)
・売上予測分類
を指定して保存をクリックすることで、商談のフェーズに新しい選択肢を表示できます。
新しい選択肢は、フェーズの最下部に表示されるので、「並び替え」をクリックして選択肢の並び、商談の画面の上部の「パス」の左右の配置を変更することができます。
※商談のフェーズの設定の仕方やパスの設定については別記事にて解説。
商談オブジェクトの標準項目を何度も操作してみて、商談オブジェクトが持っているそもそもの機能、活用方法をまずは理解しましょう。
基本的には、商談オブジェクトの標準機能をフルに活用し、自社の独特な言い回しの管理項目、フェーズ管理を行っているなら少しのカスタマイズを行うことがSalesforce 活用成功の最も近い道となります。
商談オブジェクトまとめ
Salesforce 導入初期には、導入以前に管理していた帳票からのデータ移行を可能な限り早く行いたいと焦りすぎるあまり、取引先や商談オブジェクトに何百項目もデータをとにかく作成してしまうということが起こりがちです。
Salesforce 以前のツールで行っていた管理は、Salesforce ではないツールを前提として作られたものです。クラウドの顧客管理データベースとしての機能が豊富にあるSalesforce の標準機能を理解したうえで、以前のデータ構造の完全な再現ではなくて、Salesforce のいいところをいかしながら自社のビジネス管理に必要な最小の改善を行うことを意識しましょう。
Salesforce を導入したばかりや、これから導入しようとしている企業で、どのように活用したらいいのか、データの移行に悩んでいる、などありましたら、ぜひお問い合わせフォームからご相談ください。
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