Salesforce 導入を成功させるためには?~取引先オブジェクトについて理解しよう~

こんにちは、普段はSalesforceのシステム管理者をしているnakochiです。

今回はSalesforce導入を成功させるためのポイントについてお伝えしていきます。

オブジェクト毎に用意しているので、興味のあるところから読み進めていただけると嬉しいです。

取引先オブジェクトとは?

取引先という名称の日本語からは、すでに契約を行っていて取引を行っている顧客企業やパートナー企業、という印象を受けます。取引先オブジェクトとは、ビジネス上の関係をしたことがある相手だけではなく、会社単位で管理すべき情報をまとめるデータベースです。

取引先には、顧客だけではなく、見込み顧客、パートナー、競合、などの様々な種別を管理します。

画像出所:Salesforce Dev Edition の初期設定の取引先の新規作成画面

あなたの所属する会社や、ビジネスではどのような関係の会社を取引先とすべきでしょうか?どのように企業情報を管理することで、商談の分析や、競合分析を行うためのデータを蓄えていくことができるようになるでしょう?

ビジネスを成長させるために必要な、取引先への入力内容を考察して、取引先オブジェクトへのレコード作成を行いましょう。

取引先オブジェクトの使い方

取引先オブジェクトは、新しく名刺交換をしたとき、顧客リストから商談を開始するために電話でアポイントの調整を行ったとき、といった、ビジネス上のアクションをしたときに新しく作成されるのが望ましいです。

上記のような、自社にとって管理しておくことが望ましい新しい会社の情報を手に入れたときは、「取引先」タブをクリックしてから、「新規」をクリックすることで新しく取引先を作成できます。

※同じ名前の取引先がすでに登録されていないか、検索バーに会社名などを入力して検索することで、データの重複を防いでデータを作成することの助けになります。

画像出所:Salesforce Dev Edition の初期設定の取引先のホーム画面

画像出所:Salesforce Dev Edition の初期設定の取引先の新規作成画面

取引先の画面に入力できる項目が最初から定義されています。

・取引先名
・親取引先(グループ会社があって階層管理したいときに、すでに登録済みの取引先を指定する。)
・取引先番号
・取引先 部門
・種別
・評価
・電話
・Fax
・Web サイト
・住所(請求先)
・住所(納入先)

といった入力項目があらかじめ定義されています。

このようにして、最初から表示されている項目のことを「標準項目」といいます。

この標準項目は、Salesforce がこれまでにクラウドで顧客管理システムを私たちや世界中の企業に提供してきたノウハウをもとに提供してくれている項目です。

これらの項目への入力をしっかりおこない、これらの項目の数を超える項目を作成しようとすると、企業情報を管理するデータベースとして、簡潔で使いやすいものとはほど遠くなる可能性が高いです。

まず、標準項目への入力をいくつかのデータで行い、不要な表示項目はないか、足りない表示項目はないかを分析することが、取引先オブジェクトの活用の最も近道となります。

取引先オブジェクトから派生する、取引先責任者オブジェクト、商談オブジェクト、についてもこのブログの別記事にて解説していますが、それらのオブジェクトの標準項目も必ず確認して、取引先オブジェクトへの項目の追加を行いましょう。

取引先オブジェクトのレイアウトの整理

取引先オブジェクトにいくつかデータを作成してみると、この項目は明らかに表示する必要がない、自社としてはこれまでにこの項目でのデータ入力を行ったことがない、というものがあります。

そういう時は、入力画面(ページレイアウト)から非表示にすることで、入力ページを簡潔にすることができます。

ページレイアウトの編集は、システム管理者の権限があるアカウントから、各オブジェクトのタブをクリックしてホーム画面を表示し、「設定」ボタンから「オブジェクトを編集」をクリックすることで、管理することができます。

「オブジェクトを編集」をクリックすると、オブジェクトマネージャ という機能が開かれます。

このオブジェクトマネージャから、「ページレイアウト」をクリックして、

編集を行いたいページレイアウト名をクリックすると、入力画面に表示させる項目の配置を変更することができます。

※ここでは、Account Layout をクリック

すると、ページレイアウトを編集する画面が表示されます。

画面中央の白い領域に表示されている項目のうち、表示したくない項目にマウスカーソルを合わせ、右側の「削除」ボタンをクリックすると、ページレイアウトから非表示にすることができます。

※ページレイアウトからの削除を行っても、データベースは存在していて、すでに入力されたデータそのものは残っています。

また、画面中央の上側にある項目名をクリックしたまま、画面下の白い部分にドラッグアンドドロップすると、入力項目を追加することができます。

画面中央の白い部分にある項目をクリックして、項目の配置を移動させたい場所にドラッグアンドドロップすると、項目の配置を変更することができます。

このようにして、まずは標準項目のうち、不要なものを非表示にすること、入力しやすい項目の配置にする、という操作を理解して取引先オブジェクトを改善していきましょう。

取引先オブジェクトの入力項目が足りない?項目を新規作成

ここまで、Salesforce 導入初期状態の取引先オブジェクトの入力項目を見てきましたが、入力の操作を行うとき、「この項目もあってほしいな」というものはなかったでしょうか?

なこちがSalesforce 導入や活用の支援をしている企業では、取引先名に「フリガナ」を入力して管理したい、住所の都道府県よりも上の区分である、エリアを管理したい、といった要望がよくあります。

このように、項目が足りない時には、取引先責任者、商談、などのオブジェクトの内容も確認したうえで、項目の追加を行いましょう。

※取引先別に、1月売上(金額項目) / 2月売上(金額項目) / … / 12月売上(金額項目)のような新しい項目(カスタム項目)を作成することは、Salesforce の活用成功から大きく遠ざかりますので、作成する項目がどのデータベースに実装されるべきかということを十分に検討して項目の作成を行いましょう。

新しい項目の作成は、システム管理者の権限があるアカウントから、各オブジェクトのタブをクリックしてホーム画面を表示し、「設定」ボタンから「オブジェクトを編集」をクリックすることで、管理することができます。

「オブジェクトを編集」をクリックすると、オブジェクトマネージャ という機能が開かれます。

このオブジェクトマネージャから、「項目とリレーション」をクリックして、

画面中央上部の「新規」をクリックすると、新しく項目を作成するための画面が起動します。

データ型の選択 画面に表示されるデータの形式で、新しい項目を作成することができます。

ここでは、取引先名のフリガナを設定するための項目、「フリガナ」というテキスト項目を作成します。

「テキスト」をクリックして、「次へ」をクリック。

詳細を入力画面では、

項目の表示ラベル:フリガナ
文字数:255
項目名:AccountRubyName
※プログラミングで処理を指定するための英語名
説明:省略
ヘルプテキスト:取引先のフリガナを入力してください。
※入力画面でカーソルを合わせると表示されるヘルプメッセージ

を指定して、次へをクリック。

項目レベルセキュリティ の画面では、どの権限を持つユーザに、新しい項目を編集、表示させるか、という指定をします。

※ここでは、すべての内部ユーザに対して権限を付与しますが、Salesforce で制作して公開しているコミュニティのゲストユーザなどへの権限の設定は行わない、表示させても良い権限についてしっかり確認したうえで設定を行いましょう。

ページレイアウトへの追加 画面では、どのページレイアウトに対して新しい項目を表示させるか、ということを指定します。

レイアウトの指定ができたら、「保存」をクリックすることで新しい項目の作成を完了し、

「保存&新規」をクリックすると、保存後に新しい項目を作成する画面を再び表示します。

取引先に対して項目を追加し、項目をレイアウトに追加すると、このように、レイアウトの下のほうに自動的に入力欄が追加され、指定したヘルプメッセージが表示されます。

項目の配置を、上記で解説しているページレイアウトの編集、を参考に、取引先名のすぐ下に表示するなどして、使いやすい画面を設計、実装しましょう。

まとめ

Salesforce 導入初期には、導入以前に管理していた帳票からのデータ移行を可能な限り早く行いたいと焦りすぎるあまり、取引先や商談オブジェクトに何百項目もデータをとにかく作成してしまうということが起こりがちです。

Salesforce 以前のツールで行っていた管理は、Salesforce ではないツールを前提として作られたものです。クラウドの顧客管理データベースとしての機能が豊富にあるSalesforce の標準機能を理解したうえで、以前のデータ構造の完全な再現ではなくて、Salesforce のいいところをいかしながら自社のビジネス管理に必要な最小の改善を行うことを意識しましょう。

Salesforce を導入したばかりや、これから導入しようとしている企業で、どのように活用したらいいのか、データの移行に悩んでいる、などありましたら、ぜひお問い合わせフォームからご相談ください。

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